2014年03月27日

2014年 琉球新報 「落ち穂」コラム掲載

東日本大震災



2013年偶数月に、福島いわき市の金澤翔子美術館にて東日本大震災からの復興の願いをテーマに沖縄アートグループメンバーの企画展を開催した。そのご縁から、縁筆書家曽山尚幸が、被災地小名浜港を舞台に開催された「第12回おなはま海遊祭」「第60回いわき花火大会」 7/29~8/3までの6日間で、738人のお名前を書き下ろさせて頂きました。たくさんの笑顔に出逢えたことに感謝。花火は、小名浜港の夏の夜空を鮮やかに彩り、レーザーや音楽などに合わせて華麗に打ち上げられ、人々の歓喜の声に、言葉で表現できない気持ちでいっぱいになった。花火には希望の数だけの色があったと思う。花火大会実行委員の皆様からは、震災の日この港を襲った津波から一歩でも漸進しようとする力強さを感じた。
今年3月、福島出身の絵師 高萩正志さんを招き、曽山さんとの「縁筆書家soyamax 絵師 高萩正志 二人展」を開催。異分野の二人が筆を交えお互いの世界観を表現した。そして、震災の日から3年目の3月11日14時46分黙祷の後、一筆一筆に祈りを込めて魂を込めて東日本大震災への鎮魂書き下ろしをした。高萩さんは、津波にのまれた命が一つになって天に向かうように竜を描き、曽山さんは宮澤賢治の「雨にも負ケズ」を書き、竜の鱗に「命」を記した。描きあげた竜と言葉は、そこにいた人々の想いと一緒に天に昇った。
今でも忘れない。私だけでなくその日ゲストハウスに宿泊していたメンバーが、ニュースで流れる恐ろしい映像に絶句した時間。安否を確認できるまでの不安感。どうしたらいいのか、どんな言葉をかけたらいいのか分からなかった。何もできなかった無力感だけが残っている。去年4月企画展の際、三春滝桜(樹齢推定1000年超)を見に行った。こんな大震災や原発事故があった後でも、こんなに色鮮やかに咲く桜を見た時涙が止まらなかった。現在も続く、復興・福島第一原発問題。今、自分がいる場所から被災地へ行き、芽吹いた繋がりを育てる事で、明日への笑顔を増やしたい。迎えいれてくれる金澤翔子美術館オーナーに心より感謝申し上げます。


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Posted by 沖縄アートギャラリー at 00:00│Comments(0)コラム
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