GallerySalon　MARUYOU

イノセント【innocent】


運営するゲストハウスチャンプルー荘＆沖縄アートギャラリーは、１Ｆがオープンエアなので一年中蚊取り線香を焚いています。お客様から
「いい香りのお香ですね。なんというお香ですか？」
と聞かれることがある。私は、一番最初に
「イノセント【innocent】」
って無意識に答えてました。意味は、「無邪気な」。それから、同じ質問を受けるとずっとそう答えている。決して、『蚊取り線香』なんて言わない（笑）。そう答えたのは、蚊取り線香の香りは、不思議と小さい頃日が暮れるまで無邪気に遊んだ記憶を呼び出してくれるから。思いつきが、本当にありあそうなお香の名前になってしまった。
　実家は、浦添のカーミージー（空寿崎）近くにある。岩の形が亀に似ているからカーミージーと呼ばれている。本島南部の西側で自然の海岸線が残っているのは、ここだけじゃないだろうか？弟、妹と海や空き地で日が暮れるまで遊んだ。海で遊んでいても、母親が呼ぶ声はとてもよく聞こえたから、安心だった。週末になるとマヤーと呼ばれていた陽気な父は、仲間を呼んで宴を楽しんでいた。8トラのカラオケが流行った時は、家の前は海岸だから、音量の遠慮はなかったと思う（汗）小学高学年にあがると、弟の友達がよく遊びに来た。カーミージーからの飛びこみが一番の目的だった。男子の「登竜門」的儀式で頭の先端部から勢いよく飛び込んで泳いでいたものだ。大潮の時は、母とよく干潟散策に出かた。あの頃は、サザエもウニもたくさん取れた。まだ、沖までの道を覚えている。
周辺は道路開発で大きく様変わりしたが、カーミージーと夕日は昔の風景が残っている。家の前に広がる東シナ海の夕日はとても美しい。夏の夕暮れ、夜の帳が下りる時間。空の色は何ともいえない魅力的な色に変化する。私は、この劇的に変化する空の色を眺めるのが大好きだ。太陽が沈むにつれて赤・黄・緑・青・紫へと染まり、吸い込まれそうになる色になる。
　いつまでも、無邪気に過ごせた頃のことを忘れずにいたい。今日も、桜坂の風に乗って「イノセント」の香りが漂います♪