2016年02月29日

白鳥ちゃん

2015年3月26日に書いた白鳥ちゃんのお話の続きです。続きは、2019年予定でしたが終わりました。とりあえずどう終わったか書いておきたかったので、書きました。。。


2015年3月26日に書いたの
https://www.facebook.com/yoko.sunagawa.7/posts/557726540997329

年齢を超えて友達になったヨーダ(似ているのでそう呼ぶ)が、27日に沖縄を離れることになった。また、心友が離れていく寂しさに落ちています。なんだか、彼の話を書きとめたくなったので残します。前半は、去年書いたコラム。後半は、今日書きました。
読まなくてもいいです。ただ、書き残したかっただけなんで。続きは、2019年予定。
2014年4月22日琉球新報落ち穂コラム掲載
ボーイフレンドは78歳☆
私(43歳)には、新潟から移住した78歳のボーイフレンドがいる☆出会いは、2011年。映画の帰りにギャラリーに入ってきた。
白鳥恵三。S10年12月2日生まれ。78歳。日本のゼネコンの黄金時代を生きた。
生涯稼いだ金額は、三億六百万。
彼女の数は、21人。白鳥ちゃん曰く、私は、22人目になるらしい。
人生想うこと「人間は必ず死ぬことと見つけたり」
彼は、パソコンを巧みに扱い、社会人になってからの写真付き日記を書き続けている。人には読まれては困る内容も多々。それでも、面白おかしく読ませてくれた。私が登場する日には、いつの間に写真とったんだ?って思うのもある。一緒に呑みすぎた日の内容には、体の事を気遣ってくれていたりした優しさがある。知り合ってから翌年には、かつての部下を沖縄に呼び寄せ「沖縄の俺の女だ」と何のためらいもなく私を紹介した。部下も流石だ。私を上司の彼女として扱ってくれた。引退して何年たっても上司を敬って集まった仲間「来年はぜひ、新潟に遊びに来てください。」と誘われたので、ほんとに彼と翌年に行った☆
 新潟では、次々と紹介された。昼間の観光では、しっかり担当割がされていて、ポイントで案内役が変わった。かつて彼が作った橋の水門を信濃川クルージングしながら案内された。風が心地よい日だった。夜は、美味しい郷土料理にお酒。そして彼の友人達。初めて会った20~40歳離れた先輩方と呑む新潟の酒は、夢としかいいようがない楽しさだった。
彼は、2007年に生前葬を行っている。理由を聞くと「2006年にかぁちゃんが死んだから。さびしくなんてない。かぁちゃん死んだし、もう私も一人でなので、どこか行ってる途中で死んでしまうかもしれません。皆に集まってもらって、生前葬でお別れした。」
人生の大切な仲間とお別れをしたかったからだそう。そんな彼の好きな辞世は、豊臣秀吉の「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢」である。白鳥ちゃんらしい言葉。22人目の彼女になるかどうかは、まだ思案中。そのうち、23人目だって言われるかも☆
『ヨーダまた会う日まで』2015.3.26
沖縄を離れる日を突然聞かされた。平気な振りをしているけど、結構へこんでいる。
ヨーダは、今年80歳。去年の年末あたりから、体の不調と疲れを口にするようになっていた。店に遊びにくる回数も減っていた。2月に何度か誘われていたが、ゲストハウスが忙しかったので断っていた。
先日、電話かけてきて
「話があるからでてこいよ」
「わかったよ。いつものとこでいいよね?」
電話を切って、店へと向かった。
「おい。ビール二つ」
私が席につくとヨーダは、店員にオーダー。ここまでは、いつもと変わりない流れ。
乾杯をして、
「話って何?どうした?」
「いや、27日、沖縄でる。もう、疲れたんだ。娘が探した養老院に空きが出たからいくよ。」
はぁ?なんだよいきなり。どうしてそうなる?たしかに、忙しくて正月明けからほったらかしにしたけどさ。
「何で急に?」
「いや、先月娘が養老院の話だしてきて、最近疲れやすくなったのもあるし、別れるには沖縄でるしかないんだよ。」
おいおい、あんなに反対した同棲を解消するために、沖縄出るのかよ?
怒りのあまり黙っていると、
「お前の言う通りにしとけば、まだまだ沖縄にいれたんだがな。また、友達が一人死んだよ。俺もいつかは死ぬからな。」
私の言う通りにしとけばよかったって反省の言葉がでたから、喋った。
「結果そうなったことは、どうしようもないよね。娘さんの近くにいけるなら、それがいい。娘さんの連絡先もちゃんと教えておいてよ。困るから。それで、ちゃんと別れられるの?」
ちゃんと整理をつけたこと、どうして、別れたくなったかも話させた。ちゃんと言うこと聞いてくれたら、もっと遊べたのに。そう思っても口にはださない。同棲に反対したとき、本気の大ゲンカをした。ヨーダは、5ヵ月たってひょこり現れ
「よっこらしょっと。 なんで電話くれないんだよ。 龍一からきいてないのか?」
どうやら、自分から連絡するのはバツが悪いので龍一を国際通りでみかけては、私に電話させるように言ってたようだ。そんなこと龍一がするわけないから、待ちきれなくって店に現れた。反対を無視して同棲を始めたようだから、もう言うことはないから、また、元のように会うようになった。
年末のファミリー忘年会では、みんなと一緒にお酒を呑んだのに、3ヵ月後には、さよなら。
「送別会をしようか?」
と聞いたら、
「いや、冬になったら、また遊びにくるからいい。」
知り合ってからのこと、あの時こうだったなとかとりとめもなく続く会話。
本当にお別れなんだな。正直、最近歳とったって口にすることが多くなっている。考えたくはないが、次会えるかはわからない。
「13回忌っていつだっけ?」
ヨーダは、生前葬をすませていて、以前13回忌を盛大にやりたいって話していたのを思い出して聞いた。
「2019年オリンピックの前の年。新潟でやるんだよ。本田なんかも皆呼んでな」
「OK。じゃぁ、それに行くから、皆の前で『俺の最後の女だよ』って紹介させてやるよ」「来るのか?いいのか?」
「うん、行くよ。着物でビシっときめてね。」
「そういや、オレお前とキスしたことあったよな。俺の女だな」
「バカ言ってんじゃないよ。してないよ。」
以前、呑んで帰って駅の階段ですべって顎を切ったこたがあったので、その後一度だけ部屋まで送ってあげたことがあった。その時スケベ根性だしてキスしようとしたから、
「ふざけんな」
って軽くビンタしてやったことがある。それが、ヨーダの中では成立したことになっている。この時は、3ヵ月口きかなかったな。まぁ、言わせるだけ言わせようと思った。楽しみな13回忌を思い描いてほしいから。
「その代わり、私が結婚式する時には、沖縄来てよ」
「なんだ、お前結婚するのか?」
「知らないよ。葬儀より祝いの方がいいだろ?」
「そういえば、お前、前のだんなと・・・」
あー、そのネタはもうしたくないから話をかぶせた。
「その話は、もう十分にしたでしょ。やりたくないよ。」
「分かった。まだ、呑むか?」
そしてまたしばらく昔話やヨーダの仲間の話を聞かされた。
そろそろ、バスの時間。今日は、最後まで見送ることにした。
国際通りをゆっくりゆっくり二人で歩いた。4年前とは違うスピード。確かにかなり遅くなった。
「俺歩くの遅くなっただろ。歩くのも疲れるんだよ」
交わす言葉が少なくなっていった。いきなりヨーダが立ち止った。
「占い。お前の占ってやるよ」
おみやげ屋の前に置かれていた100円の恋おみくじ。小銭入れから100円を取りだし、
チャリンと入れて、引いて渡してくれた。
「どうだ、なんて書いてある?」
「ありがと。読むよ。吉だね。
相手の希望を全て聞いてあげるぐらいが今は丁度いいわ。
恋人でも友達でもね。今は、流され時よ。だって。
ウケルw マジウケル。 リアルにありすぎ。
ありがとう大切にとっておくよ。」
私が、結婚式なんて、今まで使ったことのないワードを口にしたから、気になってしょうがないんだと思う。気遣ってくれたのかな?さすがヨーダ。
それからバス停までの間、お酒のせいもあるかもしれないが、泣きそうになった。
ぐっとこらえて、一緒にバスを待った。
5番。ヨーダが乗るバス。10分たたずに来た。
「じゃぁな。」
ゆっくりヨーダのペースでバスに乗り込む。彼が座ったら出発。
ヨーダも私も手を振った。
またね。
◇毎回の会話
「俺が死んだら、骨だけ燃やしてくれ。七万で。」
「足りないよ。200万よこせ。」
 
◇いつまでも男
「やった回数4210回
もし、お前ととあれば4211回」
妄想でした。
◇「お前がヨーダに似てるっていうから調べたら、
化け物じゃないか?」
「あんぽんたん。ヨーダは、ジェダイ・マスターの中でも
フォースの強さ共に史上最強と云われ伝説なんだよ。
全宇宙一最強なんだよ。」
「そうか。わかった。」
◇今想うこと
「無」
無恵庵
すべてに無であること。恵みなんて絶対にないです。
静かに死ぬんです。
彼の号らしい。
◇好きな時世
「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢」 - 豊臣秀吉
万感がはいっているんだ。
天下を統一した、関白になった、大坂城を造り、聚楽第を築いた、金と女にたわむれて遊んだ……、今から思えば、朝露が消えるような、アッという間の一生だったな……。夢の中で夢を見ているような、はかないものであったことよ、と泣いている。
辞世(じせい)とは、もともとはこの世に別れを告げることを言い、そこから、人がこの世を去る時(まもなく死のうとする時など)に詠む漢詩、偈、和歌、発句またはそれに類する短型詩の類のことを指す。
◇私に書いてくれた一句
「花と人 宇宙もあり不思議かな」
花、人間、宇宙一直線に繋がる時があります。




2016年2月19日
昼間は、ギャラリーで開催中のチョークアーティスト佐藤由紀子の個展の接客を楽しんでいた。天気予報通り夕方になるにつれ、雨が降り体感がブルブルしはじめたが、クローズの19時までがんばった。
個展開催中のギャラリーを閉めて、いつもの通りチャンプルー荘の宿泊客と呑み始めた。互いに酒のあてを持ち寄りながらの乾杯。チェックインや帰ってきて加わるゲストがいたり、出入り慌ただしい酒の席だった。
20:03携帯の着信音がなる。表示を見ると、新潟の大谷さん。白鳥ちゃん最大のライバルからだ。去年7月に白鳥ちゃんが倒れたことが分かった時から、連絡を取り合っていた。
一気にほろ酔いが覚め、慌てて携帯をもって、裏口に行きながら話す。
「もしもし。どうかしましたか?」
「ヨーコちゃん。いや、あのな。あいつ死んだって。」
「えっ?」
「娘からのハガキが届いてさ。12月23日だったらしい。それで、娘に電話したら、生前葬したから、四十九日過ぎてからの案内にしたそうだ。あいつ、糖尿病あったろ?6月に倒れてから、しばらくしていろいろ併発したらしくてさ。最後らへんは、意識はなくなってたってさ。あいつらしいよな。クリスマス前にいくなんてな。」
「ほんとに?娘さんに電話して話した時は、すぐにどうこうなるってことはないし、年内にリハビリはじめられそうだから、来年がいいって言われたから、5月か6月に会いに行くつもりだったのに。」
「まぁそういうわけだから、ヨーコちゃんまた新潟に遊びにおいでよ。俺らも沖縄いくかもしれないけどさ。まってるよ。一緒に酒のんでやろう。」
「わかりました。でもまだわかってないけど、ご連絡ありがとうございました。」
何?なんでそうなちゃったの?2018年の生前葬で『俺の最後の女だよ』って紹介するんじゃなかったの?やっぱり会いにいくべきだった。去年白鳥ちゃんが沖縄出て群馬の娘さんところに行くって話をされた時の会話が一瞬で頭を巡った。
「13回忌っていつだっけ?」
「2019年オリンピックの前の年。新潟でやるんだよ。本田なんかも皆呼んでな」
「OK。じゃぁ、それに行くから、皆の前で『俺の最後の女だよ』って紹介させてやるよ」「来るのか?いいのか?」
「うん、行くよ。着物でビシっときめてね。」
「そういや、オレお前とキスしたことあったよな。俺の女だな」
「バカ言ってんじゃないよ。してないよ。」
ゲストハウスの入り口が騒がしくなった。
「ヨーコさん~。お客さんきたよ。」
チェックインだ。こんな時に。どうにか表に出て、チェックインを一通り終わらせた。
なんだか陽気にお酒を呑んでいる席には、戻れない。ちょっと距離をあけて丸椅子に腰をおろした。通りをはさんだ、牡蠣小屋さんのお酒を楽しく呑んでいる賑やかな人達を眺めていたら、涙が落ちてた。幸い会話に入ってないから誰にも気づかれてない。ダメだ。ここで泣いちゃダメだ。よし、呑もう。冷蔵庫にビールを取りにいく。ぐびぐび呑む。とにかく、意識をとばさないとダメだ。女子大生が二人帰ってきて3階へあがって行ったが、一人がおしゃべりしたいと降りてきた。ちょうどいい。男性3人と私だったので、あおいちゃんがいることで話さなくてすむ。何か難しい話になってたきたので、一度助け舟だしたが、また同じ話題にもどった。他にも女子大生が二人帰ってきたし、ココロの余裕がないので続けて助け舟だせなかったが、どうにか女子大生だけの集まりをつくれた。
21時過ぎた頃、一人で帰る自信がないからヒロシくんを呼び出した。
「なんで?」と聞かれ「白鳥ちゃんがあの世にいったから」と答えた。「わかりました。いきますね。たぶん、10時ちょい前になると。。。」
ビールを呑む勢いも付け過ぎた感じもあるし、帰り途中で呑みに寄ってしまったら、確実に記憶がなくなるぐらいいってしまうから。
お迎えの車に乗って家に帰ってから泣いた。会いに行かなかった後悔と去年倒れた連絡の時を思い出して、泣きじゃくった。
8月。真夏の夜、大谷さんからの電話。
「ヨーコちゃん元気?あのさ、最近あいつと話した?」
「元気ですよー。先月へんな読めないメールが2件きたから、電話したんだけど、でないしつながらないんで、メールいれておいたんですけど。。。折り返しがないんですよ。」「ヨーコちゃんも連絡とれないか。わかった。調べて電話してみるよ」
なんだろ。胸騒ぎがしてきた。神様お願い。何も変わってませんように。無宗教のくせに、こういうときの神頼み。それかから、いつもならどこにでも起きっぱにする携帯を手元から離せない。着信音がする度に、表示窓を真っ先に見る。大谷さんじゃない。。。
翌日、大谷さんから電話がきた。
「もしもし、ヨーコちゃん。わかったよ。あいつ、6月20日脳梗塞で倒れて、施設でて入院しているって娘さんが言ってた。すぐに死ぬとかいうわけじゃないらしい。意識はもどったけど、ちゃんとしゃべれないらしい。寝たきりらしいけどいますぐどうこういうわけじゃないから、とりあえず様子をみる感じらしい。」
え?6月20日に倒れた?って?どういうこと?7月に2回メールきてる。
「え?じゃぁ、メールくれたのは、寝たきりで送ってきたの?」
「まぁそういうことになるな。どうにか連絡したかったんじゃないのかな。」
「私も娘さんに電話してもいいですか?直接聞きたいです。」
「じゃぁ、俺が電話して、ヨーコちゃんの電話番号いっておくから。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
携帯切って頭が真っ白になった。もう一度携帯見て、メール履歴を読み返す。あった。7月に白鳥ちゃんから2通。
◆2015/7/15 18:25

琵しにしひゆぬありお
◆2015/7/18 18:42
さあ
ひかひならなるさ
なんだよ。もう。何が言いたかったんだよ。さっぱりわかんないよ。もんもんと一日を過ごした。そしたら白鳥ちゃんからメールが来た。
◆2015/8/24 17:45
入院してます
白鳥ちゃん?いいや違う。きっと娘さんが書いたんだ。しばらく悩んだが、どうしても直接様態を聞きたくって、電話をかけた。会いに行こうか迷っていると相談したら、今は、体の右側半分が動かないしちゃんとしゃべれないし、危ない状態の峠は越して安定していて年内にもリハビリ始めるので来年がいいと。ご家族の気持ちも考えないといけないから、「わかりました。来年、何か仕事つくって帰りに群馬によりますね。その時は宜しくお願いします。それと、7月に内容が読めないメールが2件来たんですけど、白鳥さんですか?」
「たぶんそうだと思います。今は、電源きってる状態にしています。」
娘さんとの電話を切った後、ふたたび携帯メールを検索して白鳥ちゃんのだけだした。
空港まで見送ったお別れの3/27早朝5時半についた。。まだ誰もいなかった。6時にしか開かないから早すぎるといっても言うことをきかないから、外で時間をつぶした。6時チェックイン手続きをして、唯一開いていたファミレスで登場案内アナウンスが流れるまで乾杯。搭乗ゲートで見送った後、携帯を見たらメールが来てた。
◆2015/3/27 5:50
今年の冬はきないね
冬に来るっていうから、送別会しなかったのにまったく。その時は、それぐらいにしか思わなかった。今は、白鳥ちゃんには最後だとわかっていたのかもと思う。
「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢」
白鳥ちゃんの人生。あっという間の一生だったんだろうね。
あの世で会えるなら、また続きの乾杯しよ。
ありがとう。



白鳥ちゃん


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Posted by 沖縄アートギャラリー at 00:00│Comments(0)コラム
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